2012年10月28日日曜日

牧師エッセイ・「思いがけないプレゼント」


「思いがけないプレゼント」

 35名からなる混声合唱グループが、私ひとりのために「ねがい」という歌を歌ってくれました。会堂を利用されたお礼と、高校生の皆さんが心を込めて。東日本大震災をテーマにした曲で、被災地を回って歌われたものだそうです。胸に迫るような歌声を聴いていて、涙が出そうになりました。初めて聴く曲でしたが、いくつかの歌詞が印象的に、私の心に残されました。「笑顔になりますように、幸せになりますように、お願いをしよう、お祈りをしよう」という言葉でした。私ひとりで聴くのはもったいない、素敵な歌のプレゼントでした。歌のお返しにその場で、皆さんの努力の成果が出せますように祈りました。

 どうしてそんなチャンスに巡り合えたのか、その経緯をお話しましょう。今から二月程前に、旅行代理店から電話がかかってきました。鹿児島で全国合唱コンクールが開かれるので、練習に会堂を使わして欲しいと言う依頼でした。紹介者が知り合いであり役員会には後で承諾をしていただけると、直ぐに了承しました。コンクール前日金曜と当日土曜の朝早くから、鹿児島教会の会堂が使われることになりました。

 土曜日のコンクールなら時間の都合がつけて、聴きに行こうと思いました。しかし、チケット入手はインターネット販売で、既に完売とのことでした。直前に世話をされる旅行代理店から、コンクールのプログラムをいただき、学校の情報を知りました。岩手県立不来方(こずかた)高校で合唱の名門校と知りました。金曜日朝6時前に来られ、高校生の男女35名を先生から紹介され、課題曲はヨハネ福音書6章48~50節から取られたラテン語の歌詞だそうです。その聖書箇所について、話をして欲しいと頼まれました。皆さんを歓迎する言葉を述べ、御言葉から短く話しました。

 土曜日朝8時過ぎまで練習され、皆さんコンクルール会場に向かわれました。1番目にステージに上がり、9時50分に演奏されました。その時間に祈りますと申し上げましたら、午後2時頃電話があり混声合唱部門で金賞を、総合2位の鹿児島県知事賞も受賞と伺い、お祝いを申し上げました。会堂を練習会場に使ってもらって、嬉しくなりました。そんな訳で、私ひとりのために35名の高校生が、歌ってくれる豊かな恵みに与りました。数日前にその高校の先生と学生さんから礼状をいただきました。おめでとうございました。

2012年10月7日日曜日

牧師エッセイ・「イチロウのmotivation=動機づけ」


「イチロウのmotivation=動機づけ」

 イチロウ選手が9月末に週間MVPを受賞した。9月4週目の成績は、打率6割、ホームラン2本、打点5、得点7、盗塁6だった。彼のコメントがふるっていた、「このタイミングは熱いですね。(4度目の受賞に)すごいね。オールスターより難しいんだね。毎週チャンスがあるのにね。」マリナーズからヤンキースに移って、それまでと違う活躍をみせる。その理由はどこにあるのだろうか?

 私はイチロウのモティベーション(動機づけ)が、素直に高められたのではないかと思っている。チームが変わり、役割も変わった。それまでマリナーズ時代は、一番・右翼が固定されていた。ヤンキースでは打線の兼ね合いから、守備位置が変わり、打順も2番や下位であったりする。素晴らしい選手ばかりのチームだから、時に先発から外れることもある。それでも高い集中力を、保ち続けるのはさすがだ。

 かつてのマリナーズではシリーズ後半になると、優勝戦線から早々と離脱していた。おそらくモティベーションを持ち続ける工夫を、独自にしていたのだろう。ヤンキースではその必要がなく、常に集中力を持てる状況にあるそうだ。経験豊富な素晴らしい選手たちに囲まれ、マスメディアから注目を浴び続けるヤンキースならではだろうか。オールスター前に自らお膳立てをした移籍、どうやらいい決断であった。

 何をするにもモティベーションは大切なものと思う。人生常にその動機づけが上手く持ち続けられるなら申し分ない。では牧師にとってのモティベーションとは、何を言うのだろうか。よく言われるのは召命感で、神学生の頃はしばしば聞かれ、その度毎に確認をしてきた。果たして牧師とされてから、あなたの召命感を聞かせてください、と言われたことはない。本を読んだり、誰かと話したりして、気づきをいただいてきた。私が御言葉から気づかされたものは、ヨハネ18:16「あなたがわたしを選んだのではない。わたしがあなたを選んだ。」
ルターは召命を教職に限定せず、一人ひとりが神からの使命を受けていると語った。世の中で従事する職業も、神から受けた使命であると言った。